スポーツ少年団
事業計画
事業報告
1.スポーツ少年団の生まれた背景(愛知県スポーツ少年団の発足)
東京オリンピックの開催を二年後にひかえた昭和37年、(財)日本体育協会(現在の(公財)日本スポーツ協会)が創設50周年の記念事業として「一人でも多くの青少年にスポーツの喜びを」、「スポーツを通して青少年のからだとこころを育てる組織を地域社会に」との願いを込めて、日本スポーツ少年団を創設しました。
当時は、豊かな国づくりを目指していた社会情勢やオリンピックムードの高まり、スポーツへの関心などが追い風となり、大きな反響がありました。
(財)愛知県体育協会(現在の(公財)愛知県スポーツ協会)では、こうしたスポーツ少年団の創設意義に賛同して、昭和38年に愛知県内の各市町村にスポーツ少年団の結成を呼びかけました。
この呼びかけに対して、23の市町がスポーツ少年団を結成し、愛知県体育協会にスポーツ少年団の登録を行いました。
ここに、県内76のスポーツ少年団単位団、2,180人の団員数で愛知県スポーツ少年団が発足いたしました。
2.社会に認知される団体として
地域においては、スポーツ少年団活動に限らず、少年のスポーツ活動が様々な形で行われています。しかしながら、身体的にも精神的にも発育途上にある青少年の活動に対しては十分な配慮が必要です。
そこで、スポーツ少年団は、少年団を通して青少年の健全育成を図るため、公益団体である(公財)日本スポーツ協会・日本スポーツ少年団や(公財)愛知県スポーツ協会・愛知県スポーツ少年団、市町村体育(スポーツ)協会・市町村スポーツ少年団が連携してその任にあたっています。
ここが、私的な青少年の育成団体と異なるところであり、スポーツ少年団への参加(登録)は、そうした公的活動への参画となります。登録行為は、その参加団体が地域の公的団体として認められていることを意味しています。
3.単位スポーツ少年団の組織と活動
スポーツ少年団の活動の原点は、単位スポーツ少年団(単位団)にあります。
単位団は、少年・少女たちが自由な時間に、地域社会においてスポーツ活動を中心としたグループ活動を行う団体で、少年・少女たちが主体となり、自主的なメンバー(団員)として単位団が構成されています。
ただし、身体的、精神的に未完成な団員に対して、適切な指導・助言でメンバーの能力を引き出し、よりよい社会人へ導くための指導者が必要となりますし、団活動を望ましい方向へ導くための補助的な役割を果たす、リーダーの存在も重要です。
さらに単位団を精神的・労力的にそして、財政的にサポートするスタッフ・母集団も重要な役割を担っています。
こうした、団員・指導者・リーダー・スタッフ・母集団が構成されて、はじめて単位団として組織と機能が確立することになります。さらにこれらの単位団が数多く構成され、単位団は、地元の市町村スポーツ少年団に登録を行います。
次に、市町村スポーツ少年団は愛知県スポーツ少年団に登録申請し、最終的には日本スポーツ少年団へ登録がなされます。スポーツ少年団は、こうした登録課程を経て、完全なメンバーシップ制の団体として成り立っています。
4.愛知県スポーツ少年団の事業について
愛知県スポーツ少年団では、登録単位団に対して、年間を通し様々なプログラムの提供や事業を展開しています。
(1)各種交流大会の実施及び全国大会への派遣
愛知県内の交流大会として「愛知県スポーツ少年大会」を県内5地区において開催しています。
また、競技別の交流大会として、軟式野球、バレーボール、剣道、サッカー、ソフトボールの各種競技会を行っています。なお、この県内競技別交流大会は、全国大会の予選を兼ねており(サッカー、ソフトボール競技を除く)、県内大会の成績結果により、愛知県代表や団員がそれぞれの全国競技別交流大会に参加します。全国競技別交流大会では、単に試合の勝敗を競うのではなく、全国から参加したスポーツ少年団の仲間たちとの友情の輪を広げられるようにと、大会期間中は様々な交流交歓活動のプログラムが盛り込まれています。
こうした、競技別交流大会のほか、競技種目にとらわれない全国的な交流会も開催され、毎年、愛知県からも代表団員が参加して、生涯の思い出をつくり、交流会で得た経験を団活動に生かしています。
さらに、スポーツ少年団団員たちの活動が、単位団での範囲にとどまらないよう、県内そして東海地区を範囲とする活動や交流の機会も提供しています。
(2)指導者・リーダーの養成
スポーツ少年団の団員を構成する、約9割が小学生です。発育発達途上である団員に対して、年齢や性別、活動レベルに応じた適切な指導と、その指導に不可欠な専門的な知識が必要となります。そこでスポーツ少年団では、こうした指導者に対する講習会や、指導者の資質向上を図るため研修会を開催しています。
また、スポーツ少年団の活動、とりわけ単位団の団員たちをとりまとめ、指導者をサポートして、単位団の運営や活動の活性化を図るうえで、リーダーと育成することも重要です。愛知県スポーツ少年団は、こうしたリーダーの育成のための研修会なども実施し、未来の指導者となるべき人材の養成を行っています。
(3)国際交流事業
スポーツ少年団は、時代を担う青少年を国際人として育てることも重要な目的としています。
その一貫として、オリンピック開催のときに開かれる「オリンピック・ユースキャンプ」等の国際的なスポーツイベントに団員を派遣し、スポーツによる青少年の国際交流の機会を提供しています。
特に、日本とドイツのスポーツ少年団両国間で実施している、「日独スポーツ少年団同時交流」は、昭和49年から毎年実施しています。この交流は夏季の休暇を利用し、両国それぞれ125人を同時に派遣・受け入れを行い、両国のスポーツ少年団の友好・発展や青少年リーダーの育成に成果をあげています。愛知県からも毎年、団員や指導者を派遣(2~3人)するとともに、ドイツからの団員(10人)を受け入れます。
これらの国際交流事業は、日本の青少年に国際人としての感覚や、教養を身につけ、また、スポーツ少年団活動の視野を広げる絶好の機会であると考えられます。
この他にスポーツ少年団では、顕彰事業や、県内市町村スポーツ少年団活動に対する補助や助成、広報普及事業など、目的達成のために様々な事業を展開しています。
5.スポーツ少年団の存在意義
近年における科学の進歩、物質文化の発達は、私たちのライフスタイルに大きな変革をもたらしました。このことは地域社会の中にも多くの変化をみせ、人間らしさやうるおいをなくし、豊かな人間関係や連帯性を失わせる作用をもたらしつつあります。
人間の幸福とは、体も心も健康で、活力に満ちた生活を営み、人と人がお互いに協調・協力しあう社会で、自分の能力や個性を充分に発揮できることにあるはずです。
体も心も発育発達の途上にある少年・少女たちにとって、スポーツをすることは非常に大切なことです。将来に向かって伸びていこうとする少年・少女たちは、どんな環境にあっても自分を見失わず、力強く生き抜く力を持つことが必要です。そしてその力を養う機会、つまり少年・少女たちが自らの力を育てるための場は、生活と結びついた地域社会の中で少年・少女たちの集団による社会活動の場以外にありません。
そしてスポーツこそ、その原動力になるのです。ここにスポーツ少年団存在の意義があるのです。
参考資料令和6年3月31日現在
地区 | 名古屋地区 | 西尾張地区 | 東尾張(愛日)地区 | 東尾張(知多)地区 | 西三河地区 | 東三河地区 | 合計 |
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団数 | 65 | 154 | 64 | 72 | 95 | 210 | 660 |
団員数 | 1,277 | 4,228 | 1,889 | 1,887 | 2,019 | 5,266 | 16,516 |
指導者数 | 203 | 695 | 200 | 221 | 333 | 734 | 2,386 |
役員・スタッフ数 | 59 | 600 | 151 | 169 | 167 | 597 | 1,807 |